アジア版の洋楽レコード、欧米版の洋楽レコード

Tonton氏のブログで、還流レコード規制(著作権法第113条第5項)に関し、洋楽が規制対象となっていることに言及されています。
http://tontonsblog.seesaa.net/article/15703920.html
著作権法第113条第5項は、アジア版の安価な、日本と価格差の大きいレコードについては、邦楽、洋楽を問わず規制されるという仕組みになっています。
これは、ベルヌ条約の内国民待遇に違反しないようにするためであり、実際の運用上においても、邦楽と洋楽とで差別的な取り扱いはできないでしょう。
(レコード会社が自主的にアジア版の洋楽レコードに権利行使しないことは可能ですけれども。)
立法の動機からすると、アジア版の洋楽の規制は、邦楽のアジアへの普及とは直接的には結び付かないので、納得し難いとは私も思います。ただ、レコード会社は、アジア版の洋楽レコードを規制しないとは言っていないので、約束違反だと非難することができない。
Tonton氏に限らず、ブログでこの件について書かれている方は、こうした事情を承知の上で、レコード会社に対する不快感を表明されているのかなと私は理解しました。
ちなみに、この条文を改正する法律が成立する直前に、レコード協会に対して行われたインタビューで、レコード協会は、アジア版の洋楽CDも権利行使する旨を言っていたようです。

 現時点では、規制の対象と明確にされているのは、中国などアジア圏でライセンス生産された安価な洋楽CDが日本に還流してきた場合で、これは邦楽CDに準じて輸入権を行使するという。

で、権利行使の影響について考えていたのですが、洋楽の並行輸入盤というのは、法改正前からアジアから輸入されていたのでいたのでしょうか。私はちょっと調べられませんでした。
輸入されていないか、少なかったのなら、レコード会社は、アジア版の洋楽の輸入を未然的に防止する対策をとったということになるのでしょう。