最近買った本

「パクリ・盗作」スキャンダル読本 別冊宝島 1257
駅前の書店で購入。
他所にお出かけしなくても最寄の駅で買えるこの街が好きだ。
やっばり、好きな本と音楽CDが買える街じゃないとね。ブックオフとツタヤだけじゃなく。
この本は、松永氏のはてなダイアリーを見て知った。
まあ、のまネコ問題については私も日記で書いたから、この本を買うことにした。
松永氏の絵文録ことのはに、この本に関するエントリーがあるので、トラックバックを打ってみよう。


この本の中で、のまネコ騒動についての松永氏の記事を読んで思ったことを。
時系列で動きを並べて書くと、ひろゆき氏が主導したようにも読める。
当時の私の感覚では、ひろゆき氏は主導というよりは、流れに乗っかったという間接的な役割だった。
ひろゆき氏は、2ちゃんねるのトップだから、相応の責任ある慎重な言動が望ましかったのだが、現実ではそうしなかった。そういう責任はあると思う。
のまネコ騒動の流れは、ひろゆき氏にとっても好都合だったから、流れに乗っかったのではなかろうか。
ひろゆき氏は、アスキーアートを自らのビジネスの一つと考えているのでは」というのは、私の推察であるが、そういう視点で、ひろゆき氏へのインタビューを読むと、ひろゆき氏の発言は味わい深い。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0512/16/news033_2.html
ひろゆき氏が、殺人予告をAvexの自作自演と錯誤させるアナウンスを故意にしたこと、不正競争行為に該当し得る「のまタコ」グッズを販売するアナウンスをしたことは、ビジネスマンとしての誠実さに欠けるようような気がする。


で、記事の感想に戻って。
記事では、Avexが「モナーの利用は制限しない」と明言したことをもって、法的に問題ないとされているように読めた(もちろん、他にも理由は書いてあります)。
Avexの明言では、納得しない人もいるだろうなと思った。少し説得力が弱いというか。
それは、前年のレコード輸入権問題のことが思い出されたからで。
レコード輸入権問題のときには、メジャーレーベルが、レコード輸入権を行使しませんという文書を発表したのだけど、ネットでの意見の多くは、私がみた限り「そんな文書に騙されるな」でしたもん。当時、松永氏も以下のように書かれている。
http://kotonoha.main.jp/2004/05/04.html

メジャーは「輸入権を行使しない」といってるけれど……

  • 権利があれば行使するのが普通と考えるべし。
  • そもそも、日本版は高いので、その分企業の利益が大きい。
    • 輸入盤は定価の3割とか4割でショップが仕入れることもある(ということは経費引くとほとんど利益ないくらい。プロモーションを兼ねている部分もある)
    • 当然、価格維持されるのであれば、国内版の方を売りたい。

言質ではなくて、法的な裏付けが欲しいというのがネットの意見なのでしょう。
そこで商標法第29条ですよ。
工業所有権法逐条解説(isbn:4827100047)の商標法第29条に関する第1146頁には、「著作権との関係では、著作権の方が時間的に先行するときは、禁止権が制限されることは疑いない」と解説されている。
ひどく端折っちゃったので、意味がわからないと思うけど、互いに類似する図形についての著作権と商標権とが存在する場合に、著作権が発生した日が、商標登録された商標の商標登録出願日よりも前であるとき(「時間的に先行するとき」)には、商標と類似している著作物の使用を禁止するという商標権(禁止権)が制限されるということ。
もう少し具体的に書くと、のまネコの商標登録出願日より前に存在しているアスキーアートは、のまネコと似ていても、のまネコが商標登録されたとしても、のまネコの商標権を行使することができないものだということ。
(ついでに著作権法で考えると、Avexが、のまネコモナーとは別物と考えている以上、モナーに対してのまネコ著作権を行使することは、あり得ないです。インスパイアといってAvexモナーからの派生を認めている以上、モナーに対して著作権を行使することは、のまネコモナーとは別個であるという自らの主張と矛盾することになるから。)


こういう商標法の規定って、あまり知られてないんですよね。
もっと弁理士は、ネット上でアピールすべだとと思う。