元特許庁審査官の解釈

Matz日記経由。
特許における「発明」とは何かについて。
http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/002055.html
Cnet Japanの江島健太郎氏のブログに、元特許庁審査官からメールがあったとのこと。
江島氏は、「特許問題に関心のある方には、ぜひ積極的に評価していただきたいと思います。」と書かれているが、特許法の条文から遊離した独自の解釈については、評価しようがないです。
丸山氏の意見を、私には価値あるものとしてみることができません。
丸山氏は、特許法の条文の文言があやふやで、多様な解釈ができるという意見ではなく、「発明」について、条文の文言とは別の定義をし、その独自の定義に従って意見を述べています。
特許法から離れた、何か別の世界で「発明とは何かを」考えるならともかく、特許法における発明を考えるときには、まずは特許法第2条第1項の文言に基づくべきです。定義規定があるのですから。
定義された条文がおかしいという意見であれば、おかしいという根拠を述べ、そこから新たな解釈を提示すべきでしょう。丸山氏はそういうスタンスでもない。


特許法における「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」です。
修飾句を除外すれば、「技術的思想」です。
それなのに、丸山氏は、「発明」が「技術」と同義としています。
「技術的思想」と「技術」とは、異なるものです。
でないと、なぜ条文における発明の定義で「技術」とせず、わざわざ「技術的思想」したのか、理由がつきません。
条文の文言を解釈するのなら、もう少し、言葉を大切にして欲しいと思った。


また、丸山氏は発明とは具象手段のこととし、具象手段とは,この世に現に実在する有体物(自然人及び自然人を除く物)を手段とするものとされています。
電気って、無体物なんですけど。
丸山氏の考えに従えば、電気を使ったものは、発明とはならないという結論になりはしないか。


最初は、突っ込んで考えようとも思ったけど、もういいでしょう。
丸山氏の意見は、長文を読むことなく最初のほうを読んだだけで、同意できません。
善解するなら、丸山氏は、こう考えれば分かり易いだろうという一つの提案なのでしょうけど、それを特許法における「発明」の文言の解釈とすることはできません。