レコード輸入権の要件としてのパッケージへの明示

4月21日の日記について、sheepmanさんからコメントをいただきました。

パッケージに明示してなくても、小売り店に国外頒布目的商業用レコード一覧表をレコード会社が送れば済んでしまうのではないでしょうか。

レコード会社が国外頒布目的商業用レコード一覧表を小売り店に送っただけでは、本条の要件を満たさないと思います。
そう思う理由としては、まず、「国外頒布目的商業用レコード一覧表を小売り店に送る」行為が、小売店から音楽CDを購入した第三者(転得者)に対して何の効力をも及ぼさない、ということがあるでしょう。
どんなに小売店に一覧表を送ったとしても、小売業者と輸入業者とが他人であるなら、輸入業者が「情を知つて」いることにはならないということです。
仮に一覧表を店内に表示していたとしても、小売業者と輸入業者との間に他人が介在して、小売店から購入した他人から転売を受けて日本へ輸入する場合には、その輸入業者は、「情を知つて」いることにはならないということです。


また、本条は、輸入等がされたレコードが「国外頒布目的商業用レコード」であることが要件の一つです。
ここに、海外のレコード店では、日本で売ってもいい音楽CDと、日本で売ってはいけない音楽CD(国外頒布目的商業用レコード)とが混在することになります。この2種類の音楽CDは、明確に区別できるものでなければなりません。
海外の小売店で正規の商業用音楽CDを購入することが、日本の著作権法を違反するものではないのですから、海外の小売店で音楽CDを購入する者には、「国外頒布目的商業用レコード」であることを積極的に注意して知る義務を負いません。
音楽CDが、数え切れないほど多種多様であることを考えると、なおさらです。
したがって、本条における国外頒布目的商業用レコードであることの要件は、単に小売店に一覧表を送るだけでは足りず、やはりジャケットに明示する必要があると思います。
5月5日追記:補足説明あり