DVD訴訟、ハリウッドの敗北で“DMCA輸出”が加速?

http://www.zdnet.co.jp/news/0312/26/ne00_dvd.html
アメリカのデジタルミレニアム著作権法DMCA)は、「WIPO著作権条約」をアメリカで履行することを目的の一つとして改正された法律です。
このWIPO著作権条約は、著作権の国際的な保護のために、WIPO(世界知的所有権機関)における国際会議によって採択された条約であり、日本も2000年6月に加入し、2002年3月から効力が発生しています。
http://www.cric.or.jp/db/z/wch_index.html
つまり、アメリカ以外の国がDMCAに似たような国内法を制定しても、それはDMCAが輸出されたのではなく、国際的な取決めとしてのWIPO著作権条約に加入したり、遵守したりするためじゃないかな。
DMCA輸出”という、記事のタイトルを見て、少しニュアンスが違うんじゃないかと思った。
しかし、英文の記事のタイトルは「Will DVD acquittal mean tougher copyright laws?」なのに、どう訳したら「DVD訴訟、ハリウッドの敗北で“DMCA輸出”が加速?」になるのだろうか。
ついでに記事にツッコミを入れてみよう。

 1998年に成立したDMCAは、世界知的所有権機構(WIPO著作権条約(Copyright Treaty)という1996年の画期的な合意から誕生した初の国家法だ。この条約では、暗号化機構を「回避」するツールとそうしたツールの「取引」を明文的に禁止している。

著作権情報センターのサイトにある、上記したWIPO著作権条約の日本語訳文中、第11条のことだろう。
http://www.cric.or.jp/db/article/wch.html#11

第十一条 技術的手段に関する義務
締約国は、著作者によつて許諾されておらず、かつ、法令で許容されていない行為がその著作物について実行されることを抑制するための効果的な技術的手段であつて、この条約又はベルヌ条約に基づく権利の行使に関連して当該著作者が用いるものに関し、そのような技術的手段の回避を防ぐための適当な法的保護及び効果的な法的救済について定める。

暗号化機構を「回避」するツールとそうしたツールの「取引」が、明文とはいえないような。
ちなみに、日本もWIPO著作権条約に加入しているということは、この第11条に対応する規定があるのでして、具体的には罰則のところに規定がある。

第百二十条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化した者
二  業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避を行つた者