はてなダイアリーキーワードの「商標登録」

次のような文章になっている。

特許庁に商標を登録すること。
cf. 登録商標

この記述は、少々誤解があるように思う。
おそらく、キーワードを作られた人は、「特許庁に商標登録出願をすること」を指したいのだと推測するけれど。商標登録出願と、商標登録とは異なるものです。
商標登録出願は、商標登録出願人が、特許庁に対してする行為。
商標登録は、特許庁長官が、特許庁に備えられた商標原簿に行う行為。


もう少し詳しく、時系列的に書きます。
まず、商標について商標権の付与を希望する人は、特許庁に商標登録出願をします。特許庁に「申請」なんて書いてある記事を見ることがありますが、商標法上は、「申請」ではなく、「商標登録出願」といいます。

(商標登録出願)
第五条  商標登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に必要な書面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。
  一  商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
  二  商標登録を受けようとする商標
  三  指定商品又は指定役務並びに第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分
(第2項以下略)

商標登録出願があった場合、審査官が審査をします。

(審査官による審査)
第十四条  特許庁長官は、審査官に商標登録出願を審査させなければならない。

審査官は、商標登録出願に拒絶理由がない場合には、商標登録をすべき旨の査定をします。

(商標登録の査定)
第十六条  審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない。

商標登録をすべき旨の査定を受けたとき、商標登録出願人は、登録料を所定の期間内に納付します。

(登録料)
第四十条  商標権の設定の登録を受ける者は、登録料として、一件ごとに、六万六千円に区分(指定商品又は指定役務が属する第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分をいう。以下同じ。)の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
(第2項以下略)

(登録料の納付期限)
第四十一条  前条第一項の規定による登録料は、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
 2  特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、前項に規定する期間を延長することができる。
(第3項略)

登録料の納付があった場合、商標権の登録がされます。この商標権の登録が、商標登録のことです。

(商標権の設定の登録)
第十八条  商標権は、設定の登録により発生する。
 2  第四十条第一項の規定による登録料又は第四十一条の二第一項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする。
(第3項以下略)

この商標権の設定登録は、商標原簿にされます。

(商標原簿への登録)
第七十一条  次に掲げる事項は、特許庁に備える商標原簿に登録する。
  一  商標権の設定、存続期間の更新、分割、移転、変更、消滅、回復又は処分の制限
  二  防護標章登録に基づく権利の設定、存続期間の更新、移転又は消滅
  三  専用使用権又は通常使用権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
  四  商標権、専用使用権又は通常使用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
 2  商標原簿は、その全部又は一部を磁気テープ(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
 3  この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。

この商標権の設定の登録を誰がやるかというと、第71条第3項を受けて定められている商標登録令第7条第1項に規定されています。

(職権による登録)
第七条  次に掲げる事項の登録は、特許庁長官が職権でしなければならない。
 一  商標権の設定、存続期間の更新、変更、消滅(放棄によるものを除く。)若しくは回復又は書き換えられた後の指定商品並びにその商品及び役務の区分
(第二号以下略)



という訳で、キーワードを編集した。