続・日本人の著作権、アメリカ人のcopyright

昨日書いた日記で、「結局、日本とアメリカとで、法制の相違があることしか分からなかった」と書いたのは、ぞんざいでした。
斉藤先生の本が薄っぺらという印象を与えてしまう。
実際には、第1章の総論のところを読んでまとめたのが昨日の日記な訳で、斉藤先生の本では、著作物や著作者などについても、両者を対比しつつ説明がされています。
健忘録の意味で、少しまとめてみる。
以下、日本を含むコンチネンタル・アプローチを大陸法と、アメリカなどのアングロ・アメリカン・アプローチを英米法と書く。

  • 著作物について、大陸法では自然人の精神的創造物ととらえ、英米法では、コピーの対象となるものととらえる。
  • レコード制作や放送について、大陸法では著作物を伝達する行為(給付)であるため、結果物たるレコードや放送番組は著作物ではなく、*1よって著作隣接権により保護され、英米法ではレコードや放送番組はコピーの対象となるものであるから、著作物であり、著作権により保護される。
  • 著作者は、大陸法では精神的な創造をする者、よって自然人であり、英米法ではレコードや放送の製作者(法人)も著作者である。
  • 著作者人格権を、自然人による創作が前提である大陸法では著作物を人格の発露と位置づけるため積極的に認め、製作物や放送番組なども著作物に含んで著作物(製作物)の経済的な側面に重きが置かれる英米法では著作者人格権を積極的には認めない。

*1:音楽の詞、曲、放送のシナリオなどは著作物です