最近読んだ本

前回のエントリーのと一緒に届いていたのだけど。

デジタル音楽の行方

デジタル音楽の行方



第一章で「水のような音楽」というモデルを提示して、話を進めていくという流れは、レッシグ氏の「CODE」を読んだときと同じような感じを受けた。アメリカの本には、何か決まったパターンというのがあるのかな?
読み進めると、デジタル音楽の行き先について、良く分かり、示唆に富む内容になっている。音楽業界の人にとって、考えさせられる内容だろう。
私自身は、著者が述べている行き先に全面的に同意するものではなかったが、いろいろと考えをめぐらせることができた点で良かったのではないかと思う。
私は「水のような音楽」というモデルに少々懐疑的であった。
水は、生きて行く上で不可欠だけど、音楽は不可欠なのだろうか。「もちろん!」という人が多いのは理解できるけど、私のように熱心でない人には、音楽は、あってもなくてもいいような程度の重要さになる。
そのような人にまで、水道事業と同様に音楽料金を徴収するのは、かえって不公平感があるかも知れない。
「水のような音楽」モデルで似ているなと思ったのは、携帯電話の公式サイトの月額料金サイトのことだった。試聴があって、月々に数百円払えば、着メロ取り放題。そんなサイトとオーバーラップして見えた。
強制ライセンスで集められた資金プールは、著作権管理団体が管理することになるだろうけど、その著作権管理団体の透明性が担保されることが必要になるだろうなあと思った。
この本では、P2Pのファイル共有について肯定的で、DRMについて否定的だけど、私は、P2Pのファイル共有からも料金が徴収できるようなシステムができるだろうと思うし、そのためにDRMが利用されるのでないかと予想する。
Winnyだって、曲をダウンロードする毎に料金が引き落とされるようなシステムだったら、レコード会社は、むしろ喜んで曲を放流したのではないか。


最後に細かいツッコミを。
p.14 「ハニーウェル」は、日本では「ハネウェル」のほうが通じるのではないか。
p.70 「メディアオブジェクト」が少し分からなかった。「記録媒体を対象とする」ぐらいの意味なんでしょうかね。原文見ていないから分からない。