知的財産権は誰のためにあるのか

IT Proの記者の眼より。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20030903/1/
他人の意見をいちいち、あげつらうのもどうかと思ったので、取り上げないとも考えたけど、少し。
「ソフトウエアが著作権で保護される範囲は思いのほか狭い一方で、特許出願をすれば、許可されないかもしれないと思えるような技術でも,出願してみると意外に認められることがあるから、取り敢えず特許出願する風潮が生まれるのも仕方がない」
という趣旨のくだりがある。
この記述によって、ソフトウェアが、特許権だと著作権よりも容易に保護されると解釈するのなら、それはたぶん間違いなので、念のため指摘しておきたい。
出願が特許査定され特許権が発生することと、その特許権に基づいて権利行使できることとは別の話です。
これは記事に書いてあるように、カシオ計算機が提起した特許権侵害訴訟における請求が棄却されたことからも分かるでしょう。
特許に無効理由があれば、特許権が発生したとしても保護されません。
また、係争物が特許発明の技術的範囲に属しなければ、そもそも特許権侵害にはなりません。
例えば、3年ほど前に、日本で初めてのビジネスモデル特許訴訟としてニュースになったと記憶している件では、非侵害だとして、申立てが却下されました。
そういった意味で、ソフトウェアが特許権で保護される範囲は、普通の人が考えるのより狭いかも知れません。