次はコモンズ…か

アメリカの著作権法を調べようと思ったのは、一応、「コモンズ」ISBN:4798102040準備という意味もあったんですけど。
私は、本を読むに当たり、他人の書評や感想をできるだけ見ないようにしてます。
だって、他人の評価が自分も同じとは限らないんだし、そもそも、先入観を持って本を読んだら、つまらないじゃないですか。
ところが「コモンズ」については、別件でネットを調べているときに、白田先生の解説文を読んじゃったんですよねー。
http://www.welcom.ne.jp/hideaki/hideaki/commons.htm
(法政大学のサーバーが動いていないようなのでミラーの方)
この白田先生の解説文によると、コモンズでは、著作権は登録制にすることを提案しているらしい。
この提案は、アメリカも加入しているベルヌ条約が無方式主義であることに反するものだが、それならベルヌ条約を改正すればよいと、著者は考えているらしい。
でも、ベルヌ条約を改正するには、総会における全会一致での議決が必要であることを私は知っています。
著作権情報センターベルヌ条約訳文より引用
http://www.cric.or.jp/db/z/t1_index.html

第二十七条
(1) この条約は、同盟の制度を完全なものにするような改善を加えるため、改正に付される。
(2) このため、順次にいずれかの同盟国において、同盟国の代表の間で会議を行う。
(3) 第二十二条から前条までの規定の修正についての前条の規定が適用される場合を除くほか、この改正条約(附属書を含む。)の改正には、投じられた票のすべての賛成を必要とする。

つまり、ベルヌ条約を改正するのは、もはや事実上、不可能でしょう。
このことを知ってか知らずか、著作権は登録制にすることを提案している(らしい)コモンズは、合衆国憲法の記述から著作権が産業政策的に人工的に設けられた権利だという考え方を基に、1989年より前のアメリ著作権法に戻れといっているのであろうか。
最初に日本の著作権法ありきで勉強してきた私には、なかなか容認し難い提案ですね。
この私の反応は、白田先生が
「日本の著作権法は、初めからベルヌ条約への加盟を目的として導入された。だから、レッシグ先生の提案は「なにをバカな」でお終いにされるはずだ」
と予想されている、そのまんまになっちゃうのですけど。
(もちろん、自然権理論に基づく著作権保護が、時として保護に厚きに過ぎるという意見は承知しているし、傾聴に値すると思います。)
そんな先入観を持って、コモンズを読んでもどうかと考えちゃう訳で。