職務発明

http://slashdot.jp/article.pl?sid=03/06/21/0755221
スラド職務発明の話題が出ていたので、書いてみましょうか。

法律改正の機運は、オリンパス光学の発明者が会社を相手に補償金請求した裁判の判決が背景にあります(平成15年4月22日、最高裁)。
判決によれば、従業者は発明の対価について就業規則で定められていても、その額が「相当の対価」に満たないときは、不足分を請求できるということになっています。

そりゃそうだと思えるのですが、例えば就業規則で出願1件につき対価の上限が1億円と定められていても、従業者から訴えられて相当の対価が1億円を超えると裁判所で認められたならば、会社は1億円を払っていても、さらに追加の額を払わなきゃいけないことになります。
会社としては、対価で争いがある度に従業員から、いちいち訴えられてはかなわんという気になるでしょう。
また、従業員との裁判で労力を費やせば、本来の特許業務もおろそかに成りかねないという気にもなるでしょう。
そんな背景が、法改正の機運にあります。

技術開発も特許も、当たり外れがあるのであって、外れの特許は出願手数料から特許料の納付まで全て会社に押しつけておいて、当たりの特許にだけ「俺にも余計に分け前をよこせ」っていう従業員は、何か虫が良すぎはしませんか?

対価が1億円という例は、極端な例ではありません。
新聞で読んだ記憶によれば、日亜化学でブルーレーザーの発光ダイオードの発明をした中村さんは、30億円の請求をしているそうです。
そんな極端な対価請求をする一部の研究者のせいで、日本の企業の発明者を保護している条文が改正されようとしているように思えます。

なお、最高裁まで争ったオリンパスの従業員の方は、こう言っています。
「1審でやめようかと思ったが、社会的に意義のあることなのだからと弁護士に説得された(BizTechの記事より引用)」
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/biz/246061
弁護士の意図のせいで、誰にとっても不毛な結果を招いた気がしないでもありません。