追記(9月2日)

はてブのお気に入りの一人であるb:id:himagine_no9さんから、上記エントリーに関して、はてブコメントをいただきました。
http://b.hatena.ne.jp/himagine_no9/20070829#bookmark-5711716

日本がコンテンツ輸入超過国であるという事実からすれば、延長が国益に適うのかと言えば否なのではないか。また、保護期間の差によって海外で配信したら云々についても、日本外でサーバー立てたら同じ話。

ええ、国益の話になると、コンテンツ輸入超過国という過去及び現状を見れば、延長をしないほうが国益に沿うでしょう。私は、延長問題は、輸出されるコンテンツを増やすには著作権はどうあるべきかという、将来に向けた視点で考えることが必要だと思っています。(だから、法改正後に生じた著作物のみを延長するというのも一つの案だと考えています。)
DVDの話は、音楽の著作権や肖像権やリージョンコードやCSSのことを考慮していない、雑な話だったなと思っています。


ここからは、いただいたコメントからは離れた延長問題の話です。
私は、はてなでブログを書いているのみで、商用的な著作物を作成していないので、権利者の考えは分かりません。権利者の考えは、「言ってないことを読み取るマン」となって想像するしかないです。想像してみると、隣の芝生は青いというか、「アメリカやEU著作権者の著作物は70年保護されるのに、日本では同じものを作ったとしても50年なのはなぜ?」という疑問があるからではないでしょうか。
存続期間が50年のほうが、延長しないよりも延長するよりも(注記: 9月6日訂正)著作権者にとってメリットがありますよ、ということがない限りは、権利者と利用者との議論は平行線になるのでしょう。
著作権というのは、クリエータにとって、後ろ盾のようなものだと思っています。後ろ盾があるから創作に励むなんてことはない。でも、存続期間を含めて著作権という後ろ盾は大きいほうが好ましいと権利者は思っているかも知れません。
延長すると弊害が大きいから50年にすべきだという考えについては、存続期間を既に70年に延長しているアメリカやEUで、どの程度の弊害となっているかを調べる必要があると思います。公開トークで中山先生がお話されたように、実はよく分からないのが現状だと思います。
また、延長に伴う弊害、例えばコンテンツの死蔵化というのは、70年に延長することによって初めて生ずる弊害ではなくて、50年の現在においても生じているはずの問題です。弊害発生の有無の問題はなくて、発生している弊害の程度の問題なのです。だから、現在においても死蔵化を減らす方策を考えることは、有意義なことだと思っています。
延長問題については、70年に延長した場合に、権利者のメリットが現在からどの程度増え、弊害がどの程度増え、弊害を減らすための方策がどれだけあるのか、これらを比較して考えることになるのだろうと思っています。(今思い出したら、このことは、公開トークで甲野氏が会場から同じようなことをお話されました。)